貸したお金の相手が引っ越した|探す前に確かめる、時効と証拠のこと【新潟】

相手が引っ越した
連絡が取れなくなった。訪ねてみたら、もう住んでいなかった。 このご相談は、一年を通してもっとも多いもののひとつです。
そして多くの方が、「まず居場所を突き止めてほしい」とおっしゃいます。
お気持ちはよく分かります。ただ、 探す前に確かめておいたほうがいいことが、二つあります。 これを飛ばすと、見つけたのに一円も戻らない、ということが起こります。
まず、あなたの状況はどれですか
同じ「引っ越された」でも、進み方が変わります。
- 借用書がある金額と日付が書面に残っている
- 書面はないが、振込の記録がある通帳やアプリの履歴
- 手渡しで、やり取りはLINEだけ
- 友人や親族に貸した関係も含めて悩んでいる
- 何年も前の話そのままにしてしまった
最後の一つに当てはまる方は、この記事の03を先にお読みください。 探すかどうかより先に、決まってしまっていることがあります。
探すより先に、確かめることが二つあります
お電話をいただいて、私たちがまず伺うのは相手の名前ではありません。
- いつ貸しましたか時効の話です
- 何が残っていますか証拠の話です
この二つが揃っていなければ、相手を見つけてもお金は戻りません。 順番を逆にすると、調査費だけが出ていきます。
見つけることと、取り戻すことは別です
探偵にできるのは「どこにいるか」を確かめるところまでです。 請求も、取り立ても、私たちはいたしません(理由は09に書きます)。
ですから「見つけたあと、誰がどうやって回収するのか」が 先に見えていないと、調査そのものが意味を持ちません。
時効は、探している間も進んでいます
お金を返してもらう権利にも、期限があります。 民法の第百六十六条に、こう書かれています。
「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。 一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。 二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」
「返してと言える日」から数えます
返済の期日を決めていたなら、その翌日から。 決めていなかった場合の数え方は事案によって変わるので、 そこは弁護士にご確認ください。
私たちからお伝えできるのは、ひとつだけです。 探している時間も、時効の時間です。 数年そのままにしてしまった、という方ほど、 調査より先に弁護士へ行っていただくほうがよいことがあります。
止める方法があります
時効は、手続きを取れば進行を止められます。 内容証明を送る、裁判上の請求をする、相手に認めてもらう。 どれも弁護士の領域です。
期限が近いと感じたら、調査のご相談より先にそちらへ。 そのほうがお客様の利益になります。
証拠は、借用書だけではありません
「借用書を書いてもらわなかったので、もう無理ですよね」 そうおっしゃる方が多いのですが、そうとは限りません。
大事なのは、渡したことと返す約束だったことの二つが示せるかです。
使える材料
- 振込の記録通帳、アプリの履歴、振込明細
- やり取りの文面「来月返す」「少し待って」が残っていれば強い
- 一部でも返済があった記録貸したことを相手が認めた事実になります
- 相手が書いたメモや署名のあるもの形式は問いません
- その場にいた方の記憶単独では弱いですが、他と重なれば効きます
手渡しで、文面も何も無い。 この場合は正直に申し上げて厳しくなります。 ただし、そこで諦める前に弁護士にご相談ください。 私たちより先に、判断できる方がいます。
今からでもできることがあります
連絡が取れるうちなら、相手に一言でも「返す」と書いてもらう。 少額でも受け取って記録を残す。 これだけで、あとの手続きの土台が変わります。
ただし、脅すような言い方は絶対にしないでください。 その一通で、立場が逆転します。
住所が分からなくても、進む道があります
ここも、意外に知られていません。 相手の現住所が分からないままでも、手続きを進められる場合があります。
役所の窓口
権利を行使するために必要な場合、 第三者として住民票の写しを請求できる仕組みがあります。 必要な書類は市区町村で案内が異なるので、まず窓口へ。
勤務先が分かっている
住所が知れないとき、働いている場所を届け先にできると 民事訴訟法に定めがあります。
どこにいるか分からない
探しても分からなかったこと自体を裏づけて、 公示送達という手続きへ進む道があります。
金額が大きくない
少額の請求には簡易な手続きが用意されています。 どれを使うかは弁護士とご相談ください。
つまり、「住所が分からないから何もできない」ではないのです。 私たちの出番は、この道のどれを使うにしても必要になる裏づけを、現地で取ってくることです。
私たちが確かめること
ご依頼を受けて私たちがするのは、突き詰めると次の三つです。
- その住所に、現に住んでいるか生活の痕跡を日を変えて
- 住んでいないと言えるか当たるべき先に当たったうえで
- 働いている場所があるか届け先として使える場合があります
いずれも、受け取った弁護士がそのまま使える形にしてお渡しします。
一度見て終わりにはしません
一日だけ訪ねて「不在でした」と書いた報告書は、 出張中の人を不在と断じているかもしれません。 そういう報告書は、提出先で使えないことがあります。
見つけたあと、何が起こるのか
「住所が分かっても、結局払ってもらえないのでは」 これも、よくいただくご質問です。 そこで、見つけたあとの流れをお伝えしておきます。
- まず、弁護士から書面が届きますここで連絡が来ることが少なくありません
- 反応がなければ、支払督促や訴訟へ相手に届くことが前提です
- 判決を得ても、それだけでは入金されません相手の財産に手続きを取る必要があります
そして、ここで多くの方がつまずきます。 相手にどんな財産があるのか、こちらには分からないからです。
裁判所を通じて、財産を調べてもらう制度があります
第三者からの情報取得手続といいます。 裁判所は、この手続きについてこう説明しています。
「債務者の財産に関する情報を第三者から提供してもらう手続」
提供してもらえるのは、次の四つです。
- 不動産に関する情報所在地や家屋番号
- 給与(勤務先)に関する情報給与の支給者
- 預貯金に関する情報支店名、口座番号、額
- 上場株式、国債等に関する情報
ここに、住所が要ります
同じ案内に、こう書かれています。
「申立書を提出する裁判所は、債務者の現在の住所(本店所在地)を管轄する地方裁判所です。」
つまり、相手の現在の住所が分からなければ、この制度の入口に立てません。 住所を確かめることには、こういう意味があります。
なお、不動産と勤務先の情報については 過去三年以内に財産開示期日が実施されていることが前提とされています。 順番がありますので、使えるかどうかは弁護士とご相談ください。
それから、大事な注意書きがひとつ。 裁判所は、この手続きについて 「債務者の財産を調査するのみの手続」であり、 「債権を回収するためには、債権差押えなどの強制執行や担保権実行を別途行う必要があります」 と明記しています。
調べることと、取り戻すことは、制度の上でも別の段階なのです。 私たちが「見つけることと取り戻すことは別です」と申し上げるのは、 気休めではなく、こういう理由です。
いちばん多いのは、お勧めしないという結論です
正直に書きます。 この種のご相談で、私たちが「調査をお勧めしません」とお伝えする割合は、決して低くありません。
- 時効が完成している可能性が高い見つけても請求できません
- 証拠がほとんど残っていない見つけても認めてもらえません
- 金額に対して費用が見合わない調査費のほうが上回ります
- 相手に返せる資力が無さそう判決を取っても回収できないことがあります
費用をいただいてから「いませんでした」とお伝えするより、 先に申し上げるほうが誠実だと考えています。
そのうえで、お断りするときも、代わりに何をすればいいかは必ずお伝えします。 役所の窓口、法テラス、弁護士会の相談。 行き先のない「できません」では、お返ししません。
私たちがしないこと
- 相手に返済を求める請求や交渉は弁護士の仕事です
- 相手に接触して話をつける「話をつけます」と言う業者にはご注意ください
- 家族や勤務先に伝えて圧力をかける
- 郵便受けの中身を取り出す、敷地の奥に入る
- 身分を偽って近隣や管理会社に尋ねる
弁護士でない者が報酬を得て法律事務を扱うことは、 弁護士法で禁じられています。
そして、それ以前の問題として、 そうやって得た事実は、報告書に書いた時点で報告書ごと使えなくなります。 提出先は弁護士か裁判所です。 どうやって確かめたかを書けない事実は、最初から集めません。
やってはいけないこと
- ご自身で取り立てに行く強い言葉が一度出れば、立場が逆転します
- 相手の家族に請求する保証人でない限り、支払う義務はありません
- 勤務先に連絡して伝える相手が職を失えば、回収はさらに遠のきます
- 夜中や早朝に繰り返し連絡する回数と時間帯が問題になります
- SNSに名前を書いて呼びかける取り消せません。あなたの側の評価が残ります
- 「住民票が取れます」と言う業者に頼む取れるのは資格のある方だけです
どれも、お金を取り戻すという目的から見て、遠回りになります。 相手を追い詰めても、無いところからは出てきません。
私たちがお手伝いできること
ご依頼をいただかなくても、ご相談の段階でお伝えできることがあります。
時効の目安
いつ貸したか、最後のやり取りはいつか。 急ぐ話かどうかを、その場で一緒に見ます。
手元の材料の点検
通帳、やり取りの文面、メモ。 お持ちのものだけで足りることがあります。
窓口の順番
役所、弁護士、裁判所、私たち。 どの順で当たれば無駄がないかをお伝えします。
受け取る側に合わせた報告書
弁護士や裁判所が そのまま使える形にしてお渡しします。
お引き受けできない場合もあります
相手が明確に拒んでいて、会いに行くためのご依頼。 住所に閲覧制限(支援措置)がかかっている場合。 このどちらも、所在の調査はお受けしません。
行ってはいけない道を案内しないことも、私たちの仕事のうちです。

新潟でこのご相談が多い形
相手が実家に戻っている
新潟では、生活が行き詰まると実家へ戻る形がとても多いです。 住民票を動かさないまま、暮らしだけが移っていることがあります。 相手のご実家の地名を覚えていらっしゃれば、それが最短の手がかりです。
共通の知人が、必ずいます
地縁の強い土地なので、誰かしら共通の知り合いがいます。
ただしその方に尋ねれば、その日のうちに本人へ伝わります。 「心配している」という形でも伝わります。 聞いて回りたくなる気持ちを、いったん止めていただきたいのはこのためです。
冬は、住んでいるかが外から分かります
雪が降りやんだ翌朝、玄関前が雪かきされているか。駐車場の車に雪が積もったままか。 誰かが暮らしていれば、雪はそのままになりません。 逆に言えば、冬のほうが「もう住んでいない」と言い切れる材料が揃います。
県外へ出ていることもあります
関越と上越新幹線で、関東は日帰り圏です。 県外に出ていれば、距離がそのまま日数になります。 お見積りの前に、心当たりの地名を教えていただきたいのはこのためです。
費用の考え方
この種のご依頼には、ほかの調査には無い前提があります。
調査にかける費用が、取り戻せる金額を上回ってはいけません。
ですから、お見積りの前に必ず金額を伺います。 聞きにくいことを先に聞くのは、そのためです。
金額を動かすもの
- 心当たりの有無地名がひとつ出るだけで工程が減ります
- 手がかりの量生年月日、以前の住所、勤務先、車種
- 確かめる先の数候補が増えるほど日数が要ります
- 場所県内か、県外か、島か
- 目的届けば足りるのか、裁判所に出せる形が要るのか
一律の金額はお示しせず、ご事情を伺ったうえで個別にお見積りします。 そして見合わないと判断したときは、そう申し上げます。
貸したお金と所在調査についてよくある質問
Q. 借用書がありません。もう無理ですか。
そうとは限りません。 振込の記録、「返す」と書かれたやり取り、一部でも返済があった記録。 これらが重なれば、材料になります。 まずお手元にあるものを並べてみてください。 判断は弁護士がしますが、整理のお手伝いはできます。
Q. 見つけたら、代わりに返してもらってくれますか。
いたしません。 請求や交渉は弁護士の仕事で、私たちが行えば法律違反になります。 「話をつけます」と言う業者には、ご注意ください。 私たちがするのは、弁護士がすぐ動ける形で事実をお渡しするところまでです。
Q. もう五年以上前の話です。手遅れですか。
時効の数え方は事案によって変わるので、断言はできません。 ただ急ぐ話であることは確かです。 調査のご相談より先に、弁護士か法テラスへ。 そのほうがお客様の利益になります。
Q. 相手の家族に請求できますか。
保証人になっていない限り、ご家族に支払う義務はありません。 連絡を取ること自体が、こちらの立場を悪くすることもあります。 相手の所在を尋ねるのも、本人にその日のうちに伝わると考えてください。
Q. 探しても見つからなかった場合、無駄になりますか。
いいえ。「当たるべき先に当たって、いなかった」という経過にも、手続き上の意味があります。 公示送達という手続きへ進むとき、その裏づけが要るからです。 ただし、そこまで必要かどうかは弁護士と一緒に決めてください。
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