退職後に横領が見つかったとき|新潟の企業が最初にすること

見つかったとき
立証できるかと、回収できるかは、別の問題です。
辞めた社員の担当していた帳簿を見直したら、合わない。伝票がない。入金されているはずの金が入っていない。
横領が見つかるのは、たいてい本人が辞めたあとです。担当が代わって初めて、誰かが気づく。そして気づいた時点では、本人はもういません。
このときご相談者が最初に考えるのは「訴えられるか」です。ですが、実務でもっと大事なのは、そのひとつ先にあります。立証できたとして、そのお金が戻ってくるのか。ここを考えずに動くと、費用と時間だけがかかって、何も戻らないことがあります。
ファミリー調査事務所 新潟支店では、法人のお客様からのご相談もお受けしています。この記事では、最初の数日にすべきことと、私たちに頼む意味がある部分・ない部分を分けて書きます。
いま、いちばん急ぐのは記録の保全です
調査でも、弁護士でも、警察でもありません。まず、社内に残っている記録を押さえてください。ここが最優先です。
- その方が扱っていた期間の伝票、帳簿、請求書、領収書
- 会計システムや販売管理システムの操作ログ
- 入出金の記録、通帳、小口現金の出納帳
- その方が使っていたパソコンとメールの記録
- 貸与していた機器。初期化する前に、そのまま保存してください
- 在職中の勤怠、退職の届出、引き継ぎの記録
なぜ急ぐのか。理由は二つあります。
ひとつは、システムのログや通信の記録には保存期間があるためです。何か月か経つと消えます。消えたあとでは、誰がいつ操作したのかを確かめられません。
もうひとつは、パソコンを次の人に使わせてしまうと、上書きされるためです。「辞めたから初期化して、新しい人に」というのは、ごく普通の対応です。ですが、それをやってしまうと、いちばん大事な記録が消えます。心当たりがある段階で、まずそのまま保管してください。
被害額を特定する作業は、顧問の税理士や会計士にご相談ください。いくらの被害なのかがはっきりしないと、そのあとの判断が何も決まりません。
立証できるかと、回収できるかは別の問題です
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
帳簿を突き合わせ、証拠を固め、弁護士に依頼し、裁判で勝つ。そこまで行ったとして、相手にお金がなければ、判決は紙のままです。給与を差し押さえるにしても、勤め先が分からなければ手続きができません。財産がなければ、差し押さえるものもありません。
横領されたお金は、多くの場合、すでに使われています。生活費に消えている、借金の返済に回っている。手元に残っていないことのほうが普通です。
ですから、順番として考えていただきたいのは、こういうことです。
被害額を確定する
いくらなのかがはっきりしないと、かける費用の判断ができません。税理士や会計士と一緒に進めてください。
相手の状況を確かめる
いまどこにいて、働いているのか。勤め先があるかどうかで、打てる手が変わります。ここが調査の出番です。
そのうえで、進み方を決める
回収を目指すのか、けじめとして刑事の手続きを取るのか、社内の再発防止に切り替えるのか。弁護士と決めてください。
申し上げにくいことですが、回収できる見込みが乏しいご相談も、現実にあります。その場合、私たちは調査をお勧めしません。費用をかけていただく意味がないからです。
ただし、回収だけがすべてではありません。社内に示しをつける、再発を防ぐ、保険の請求に使う。目的が別にあるなら、進め方も変わります。そこも含めてご相談ください。
刑事と民事、どちらに進むか
横領は、二つの道に分かれます。どちらか一方ではなく、両方を進めることもあります。
- 刑事 警察に被害を届け出る道です。業務上の立場で預かっていた金品を使い込んだ場合、業務上横領として扱われることがあります。ただし、警察に動いてもらうには、被害の中身が具体的に示されている必要があります。「合わない気がする」では受け付けてもらえません。帳簿の突き合わせが先です。
- 民事 返還や損害賠償を求める道です。弁護士に依頼して請求し、応じなければ裁判になります。回収を目的にするなら、こちらが本筋です。
ひとつ注意点があります。横領した相手がご親族の場合、刑事の扱いが変わります。刑法には、配偶者・直系血族・同居の親族とのあいだの窃盗などについて刑を免除する定めがあり、横領などにも準用されています。同族で経営されている会社では、この点が関わってくることがあります。詳しくは親族間のお金のことで事実を確かめたくなったらに書きました。
いずれの道に進むにしても、先に弁護士へご相談ください。刑事の届出をどう出すか、民事とどう並行させるか、順番によって結果が変わります。
調査でなければ分からない部分
社内の記録を固め、被害額を出したうえで、それでも分からないことがあります。相手が、いまどこで何をしているかです。
- 現在の住まい。退職時に届けていた住所に、いま住んでいるかどうか
- 働いているかどうか。勤め先があるか
- 生活の様子。外から見える範囲での状況
- 県外へ移っているかどうか
- 連絡が取れなくなっている場合、所在が分かるかどうか
勤め先があるかどうかは、実務上とても大きな意味を持ちます。回収を考える場合、打てる手が変わるためです。ただし、その先の手続きは弁護士の領域になりますので、私たちは事実を確かめるところまでを担当します。
また、退職後に連絡が取れなくなっているご相談も少なくありません。書面を送っても返ってくる、電話がつながらない。この場合、相手の所在が分からないと、請求も届出も前に進みません。ここは、私たちがお役に立てる場面です。
こちらでは確かめられないこと
できることと同じだけ、できないことも書きます。とくにこの分野では、はっきりさせておく必要があります。
- 相手の預金や資産の額は分かりません。口座の中身を照会する手立ては、民間にはありません。「資産調査ができる」と言う相手には、どうぞご注意ください。
- 相手のスマートフォンやパソコンの中身は見られません。
- 横領された金がどこへ行ったかは追えません。資金の流れは、記録を持っている側でなければ追えません。
- 被害額の算定はできません。帳簿の突き合わせは、税理士や会計士の仕事です。
- 回収はできません。請求も交渉も、弁護士の領域です。
- 「横領があった」という判断はできません。お出しできるのは、確認した範囲で何が見えたかという事実だけです。
もうひとつ。相手の所在が必ず分かるとはお約束できません。手がかりの量と新しさによります。退職直後であれば分かることが多い一方、何年も経っている場合は難しくなります。できるかどうかは、お話を伺った段階で正直にお伝えします。

新潟の中小企業で、この話が表に出にくい理由
ご相談を伺っていて、新潟で共通していると感じることがあります。
経理を、長く一人の方が担当していたという形です。従業員の少ない会社では、金銭の出入りを一人が全部見ていることが珍しくありません。信頼していたからこそ任せていた。そしてチェックする人がいなかった。この構造が、被害を長期化させます。
そして、見つかったあとも表に出ません。
- 地域が狭い。従業員もその家族も、同じ地域にいます。話が広まれば、相手の家族の生活にも及びます。そこまで望んでいない、というご相談者は少なくありません。
- 会社の信用に関わる。横領が出たという話は、取引先や金融機関の耳にも入ります。被害者であるはずの会社が、管理体制を問われることになります。
- 親族が絡んでいることがある。同族で経営されている場合、相手が身内ということもあります。その場合、刑事の扱いが変わるほか、家族の関係そのものが問題になります。
- 本人と、今後も地域で顔を合わせる。これも新潟では現実の問題です。
こうした事情から、穏便に、返済の約束だけ取って終わらせたいとお考えになる方がいらっしゃいます。お気持ちは分かります。ただ、その場かぎりの口約束は、あとで守られないことが多いのが実情です。金額と返し方を書面にする、公正証書にするといった形については、弁護士にご相談ください。
それから、同じことを繰り返さないために。金銭を扱う担当を一人に固定しない、通帳と印鑑を同じ人が持たない、定期的に別の目を入れる。小さな会社でもできることがあります。顧問の税理士にご相談ください。調査よりも、こちらのほうが会社を守ります。
まず記録を押さえてください。そのうえでご相談を
社内の記録とシステムの履歴は、時間が経つと消えます。動く前に、そのまま保存してください。お話を伺ったうえで、回収の見込みが乏しい場合は調査をお勧めしないこともあります。ご相談だけでも結構です。
秘密厳守・新潟県内全域に対応なさらないほうがよいこと
- 記録を固める前に、本人を呼び出して問い詰める。これがいちばん多い失敗です。本人は以後、連絡を絶ちます。まだ社内にあるはずの記録も、協力が得られなくなります。
- 自白を迫る、書かせる。強い言い方で書かせた書面は、あとで効力を争われます。長時間の拘束や威圧は、こちらが責任を問われる原因になります。
- 退職金や未払い給与から、勝手に差し引く。賃金は全額を支払うのが法律上の原則です。相殺する前に、必ず弁護士にご相談ください。
- パソコンを初期化する、伝票を整理する。証拠が消えます。そのままの状態で保管してください。
- 社内や取引先に事情を説明して回る。伝わり方によっては、名誉に関わる問題になります。関わる人数は絞ってください。
- 本人の自宅へ押しかける、家族に取り立てる。家族に法律上の支払い義務があるとは限りません。取り立ての態様によっては、こちらが責任を問われます。
調査を扱う事業者は、探偵業の業務の適正化に関する法律に基づいて公安委員会へ届け出たうえで営業しています。法人からのご依頼であっても同じです。届出の番号は、ご依頼の前に必ずご確認ください。
どこに何を頼めばよいか
- 税理士・公認会計士 被害額の特定。ここが決まらないと何も進みません。顧問の先生に、まずご相談ください。
- 弁護士 刑事の届出をどう出すか、民事で請求するか、相殺してよいか。動く前に、いちばん先に相談する相手です。
- 警察 被害の中身が具体的になってからの届出です。帳簿の突き合わせが先になります。
- 探偵 相手の所在と現況の確認。連絡が取れなくなっている場合や、勤め先が分からない場合です。
- 社会保険労務士 就業規則や金銭管理の体制の見直し。再発を防ぐために。
順番としては、記録を保全する → 被害額を出す → 弁護士に相談する → 相手の所在が分からなければ調査 → 手続きへ、という並びが無駄になりません。
ご相談の前に整理しておきたいこと
- 退職した時期と、在職していた期間・担当業務
- 被害が疑われる期間と、おおよその金額(はっきりしていなくて結構です)
- いつ、どのように気づいたか
- 本人に、すでに接触したかどうか
- 退職時に届けられていた住所・連絡先。いま通じるかどうか
- 弁護士、税理士に相談済みかどうか
- その方がご親族にあたるかどうか
そして、お尋ねします。確かめたあと、どうなさりたいですか。
お金を取り戻したいのか、刑事の手続きとしてけじめをつけたいのか、社内に示しをつけて再発を防ぎたいのか。目的によって、必要な確認も、進め方も変わります。
目的が「回収」であれば、最初にお伝えするのは、相手にその力があるかどうかという話になります。厳しいことを申し上げる場合もありますが、費用を無駄にしていただかないために、正直にお話しします。
費用と期間の考え方
費用を左右する主な要素
- 確認の内容所在の確認か、現況の確認か
- 手がかりの量退職からの経過期間
- 確認する日数一日で足りるか、日を分けるか
- 調査対象エリア県内か、県外か
個別見積りとなる理由
横領に関するご相談は、相手の所在が分かっているかどうかで、必要な作業がまったく変わります。退職直後と、何年も経ってからでは同じ調査になりません。また、回収を目指すのか、届出のための確認かによっても範囲が変わります。お話を伺ったうえで、必要な範囲だけをお見積りします。お見積りの前に費用が発生することはありません。
まず確認したいこと
相談員からお伝えしたいこと
よくあるご質問
Q. Q. 相手の預金や資産を調べてもらえますか。
できません。口座や資産の状況を照会する手立ては、民間にはありません。資産調査ができると言う相手にはご注意ください。私たちがお引き受けできるのは、所在と、外から見える範囲の現況の確認です。
Q. Q. 本人にまだ何も言っていません。連絡したほうがよいですか。
記録を押さえる前に接触すると、以後の協力が得られなくなることがあります。まず社内の記録とシステムの履歴を保全し、弁護士にご相談ください。連絡の仕方も、そこで決めていただくのが安全です。
Q. Q. 退職金と相殺してもよいですか。
一方的に差し引くことは原則としてできません。賃金は全額を支払うのが法律上の原則です。必ず弁護士にご確認ください。
Q. Q. 警察に相談すれば動いてもらえますか。
被害の中身が具体的に示されていることが前提になります。いつ、いくら、どの取引かが固まっていない段階では難しいため、先に帳簿の突き合わせを進めてください。
Q. Q. 相手が親族です。扱いは変わりますか。
変わる場合があります。刑法に、配偶者・直系血族・同居の親族とのあいだの窃盗などについて刑を免除する定めがあり、横領などにも準用されています。同族経営の会社では関わってくることがありますので、弁護士にご確認ください。
Q. Q. 連絡が取れなくなっています。所在は分かりますか。
手がかりの量によります。退職時の届出内容や、退職からの経過期間で変わります。できるかどうかは、お話を伺った段階で正直にお伝えします。
Q. Q. 社内に知られずに進められますか。
ご相談の内容が外に出ることはありません。ただ、社内で広く共有されると、そこから伝わります。関わる方は必要な範囲に絞ってください。
横領が疑われる状況は
ファミリー調査事務所 新潟支店 にご相談ください
24時間365日受付
可否を先にご説明
ご相談内容を丁寧に管理
地域の事情をふまえて対応


