退職した従業員とのトラブルを放置しないために|新潟の法人調査

トラブルを放置しないために
何を持ち出されたかより先に、自社がどう管理していたかで結論が決まります。
「辞めた社員が、同業を立ち上げたらしい」「取引先が、そのまま向こうへ移っている」「顧客の名簿を持って出たようだ」
従業員が辞めたあとに、こうした話が出てくることがあります。しかも新潟のように事業所が近く、業界が狭い土地では、辞めた方が同じ業界にいることのほうが普通です。顔を合わせる機会もあります。
ご相談で最初にお伝えするのは、たいてい同じことです。「持ち出された」と言えるかどうかは、出ていった側の行動だけでは決まりません。自社がその情報を、普段どう管理していたかで決まります。
ファミリー調査事務所 新潟支店では、法人のお客様からのご相談もお受けしています。この記事では、まず自社で確かめるべきことを書き、そのうえで調査に意味がある部分と、ない部分を分けて書きます。
まず、どのご相談に近いかを決めてください
「辞めた社員とのトラブル」でも、中身によって進む道がまったく違います。次のどれに近いでしょうか。
- A 顧客名簿や技術情報を持ち出された疑いがある
- B 同業を始めた、または同業へ移った。競業を禁じる取り決めがあった
- C 在職中の社員が、引き抜かれている
- D 金銭の被害が見つかった。在職中の使い込みが疑われる
- E 未払い残業などの請求が届いた。あるいは、外で会社の悪評を流されている
D は、この記事ではなく退職後に横領が発覚したときをお読みください。金銭の被害は、集めるべきものも、進む先も違います。
A と B は、次の章が出発点です。相手を追う前に、自社の側で確かめることがあります。
C は、線引きが難しいご相談です。転職の勧誘そのものは、ただちに違法とはされません。ただ、態様によっては責任を問える場合があります。弁護士へのご相談が先になります。
E は、労務の問題です。請求が届いている場合は、感情で返さず、まず弁護士か社会保険労務士へご相談ください。対応を誤ると、こちらが不利になります。
「営業秘密」と言えるかどうかは、自社の管理で決まります
顧客名簿や技術情報の持ち出しについては、不正競争防止法という法律が関わってきます。この法律で保護される「営業秘密」にあたるには、条件があります。おおまかに言えば、次の三つです。
- 秘密として管理されていたこと 誰でも自由に見られる状態ではなかったか
- 事業に有用な情報であること 実際に役立つ内容か
- 公然と知られていないこと 外部から容易に知り得るものではないか
問題になるのは、たいてい一つ目です。共有フォルダに誰でも入れた。パスワードは全員が知っていた。持ち帰り用のデータに制限がなかった。紙の名簿が事務所に置きっぱなしだった。こうした状態だった場合、「秘密として管理していた」と言いにくくなります。
ここが、多くの中小企業でつまずくところです。実態として大事な情報であることは間違いない。でも、管理していたかと問われると、していなかった。その場合、相手の行動をいくら調べても、法律上の主張が立ちません。
ですから、順番としては自社の管理状態を先に確かめてください。
- 就業規則や秘密保持の誓約書に、どう書いてあるか
- 退職時に誓約書を取っていたか
- データにアクセス制限があったか。誰がアクセスできたか
- 持ち出しの記録が残る仕組みがあったか
- 貸与していた機器を、いつ、どういう状態で返却させたか
これらは社内で確かめられます。そして、いま確かめておかないと、時間が経つほど記録が消えます。アクセスの履歴も、メールの送信記録も、保存期間があります。
競業を禁じる取り決めは、あれば必ず有効とは限りません
「退職後◯年は同業に就かない」という誓約書を取っていた、という会社は少なくありません。ただ、書面があれば、そのとおりに主張が通るとは限りません。
退職後にどの仕事に就くかは、その人の生活に直結します。ですから、競業を制限する取り決めは、内容によっては効力が認められないことがあります。裁判では、期間の長さ、地域の広さ、制限する職種の範囲、その人が実際に持っていた地位や情報、そして制限に見合う代償があったか、といった点が見られます。
「新潟県内で三年間、同業一切禁止」といった広い書き方をしている場合、そのままの形で通るかどうかは分かりません。まず、お手元の誓約書や就業規則を持って、弁護士にご相談ください。そこで「これは主張できる」と判断されてから、相手の状況を確かめるほうが、順番として無駄がありません。
逆に言えば、主張が立つと分かった場合、相手がいま実際に何をしているのかを確かめる必要が出てきます。そこが、調査の出番です。
調査でなければ分からない部分
社内の記録と書面を確かめたうえで、それでも分からないことがあります。相手が、いま実際に何をしているかです。
- どこで、どのような形で事業をしているか。登記上の会社か、個人での活動か
- その事業所に、実態があるかどうか
- 在職中の同僚と、いまも接触があるかどうか
- 元の取引先を、実際に訪問しているかどうか
- 在職中から準備していた様子がうかがえるか
最後の一点は、後になって効いてきます。在職中に準備を始めていたのか、辞めてから始めたのかで、話の性質が変わるためです。ただし、これは相手の内心の問題ですので、外から見える範囲の事実を積むしかありません。
相手が法人の形をとっている場合は、登記で分かることもあります。設立の年月日、役員、本店の所在地。設立日が在職期間と重なっていれば、それは記録として残る事実です。登記は法務局で、手数料だけで、どなたでも取得できます。この点は取引先の信用に不安を感じたときにも書きました。
こちらでは確かめられないこと
できることと同じだけ、できないことも書きます。
- 相手のパソコンやスマートフォンの中身は分かりません。データを持っているかどうかを、外から確かめる手立てはありません。
- 相手のメールや通信の内容は取れません。そうした方法をお勧めすることもありません。
- 口座の動きは分かりません。売上がいくらあるかも分かりません。
- 返還や損害賠償を求めることはできません。請求も交渉も、弁護士の領域です。
- 「違法かどうか」の判断はできません。私たちがお出しできるのは、確認した範囲で何が見えたかという事実だけです。
- 在職中の社員を、本人に無断で監視することはお引き受けしません。社内の管理は、労務の制度として整えるべき事柄です。
最後の一点を補足します。引き抜きが心配だからといって、いま働いている社員を追うのは、別の問題を生みます。発覚したときに失うものが大きすぎます。心配であれば、就業規則や情報管理の仕組みを整えるほうが、確実で、安く済みます。

新潟では、辞めた人と同じ業界で顔を合わせ続けます
都市部であれば、辞めた社員がどこへ行ったか分からないまま終わることもあります。新潟では、そうはなりません。同じ県内で、同じ業界にいる。取引先が重なり、同じ会合に出て、共通の知り合いがいます。
このことが、ご相談の形を変えます。
01 情報は、こちらにも入ってきます
「あそこで働いているらしい」という話が、自然と耳に入ります。ただし、その情報は伝聞です。事実かどうかは別に確かめる必要があります。
02 動いたことも、すぐ伝わります
御社が調べていること、揉めていることも同じ速さで広がります。取引先が「あの会社は揉めている」と受け取れば、御社の信用に響きます。
03 人のつながりが絡みます
紹介や縁故で採用していた場合、揉めると地域の関係にも波及します。誰を介して話すかは、慎重に決めてください。
もうひとつ、新潟の中小企業に多いのが、一人辞めると業務が回らなくなるという事情です。技術も、取引先との関係も、その人に集まっていた。だから辞められた痛手が大きく、感情も強く出ます。
お気持ちは分かります。ただ、感情のまま動いた結果が、あとで会社の不利になることがあります。朝礼での発言、社内メール、取引先への説明。これらは記録に残り、相手側の材料になります。次の章をお読みください。
動く前に、自社で確かめられることを整理しましょう
社内の記録や書面で判断がつくことを調査に出してしまうと、費用だけがかかります。お話を伺ったうえで、まず弁護士へ、とお伝えすることもあります。ご相談だけでも結構です。
秘密厳守・新潟県内全域に対応なさらないほうがよいこと
- 給与や退職金から、勝手に差し引く。損害が出ているとお考えでも、一方的に相殺することは原則としてできません。賃金は全額を支払うことが法律上の原則です。差し引く前に、必ず弁護士か社会保険労務士へご相談ください。
- 転職先や取引先に、事情を伝えて回る。事実であっても、伝え方によっては名誉や業務に関する問題になります。相手から責任を問われる立場になりかねません。
- 退職者のSNSを継続して見張る。状況によってはストーカー行為等の規制等に関する法律の対象になり得ます。会社としての行為であっても同じです。
- 退職者の自宅へ行く、直接連絡を重ねる。連絡は、必要な範囲で、記録の残る形にとどめてください。
- 相手のアカウントにログインする。在職中に会社が把握していた ID とパスワードであっても、本人のアカウントに無断で入れば不正アクセス禁止法に触れるおそれがあります。
- 社内で広く事情を共有する。話は外へ出ます。関わる人数は絞ってください。
調査を扱う事業者は、探偵業の業務の適正化に関する法律に基づいて公安委員会へ届け出たうえで営業しています。法人からのご依頼であっても同じです。届出の番号は、ご依頼の前に必ずご確認ください。
どこに何を頼めばよいか
- 弁護士 誓約書や就業規則が使えるかの判断、請求、差止めの手続き。この分野では、いちばん先です。
- 社会保険労務士 就業規則、秘密保持の誓約書、退職時の手続きの整備。同じことを繰り返さないために。
- 警察 横領、背任、不正アクセスなど、刑事の問題にあたる場合。
- 法務局 相手が会社を設立している場合の登記。手数料だけで取得できます。
- 探偵 相手がいまどこで何をしているか、事業の実態があるかの確認。
順番としては、社内の記録と書面を集める → 弁護士に見てもらう → 主張が立つなら、相手の現況を調査で確かめる、という並びが無駄になりません。逆に、先に調査から入ると、集めた事実を使えないことがあります。
ご相談の前に整理しておきたいこと
- 退職した時期と、在職していた期間・役職
- 秘密保持や競業についての誓約書があるか。その内容
- 就業規則に、関係する定めがあるか
- 貸与していた機器の返却状況
- 気づいたきっかけと、その時期
- 現時点で、実際に損害が出ているか。出ているなら、その中身
- 弁護士に相談済みかどうか
そして、お尋ねします。確かめたあと、どうなさりたいですか。
責任を追及したいのか、やめさせたいのか、被害の全体像を知って再発を防ぎたいのか。ここによって、必要な確認の深さが変わります。
それから、もうひとつ。その方と、これからも業界内で顔を合わせることになりますか。新潟では、多くの場合そうなります。そこも含めて、進め方を一緒に考えます。
費用と期間の考え方
費用を左右する主な要素
- 確認の対象事業の実態か、本人の動きか
- 確認する日数一日で足りるか、日を分けるか
- 調査対象エリア県内か、県外か
- 報告書の内容社内用か、弁護士に渡すか
個別見積りとなる理由
退職者に関するご相談は、社内の記録と書面で判断がつく場合と、相手の現況を確かめる必要がある場合とで、必要な範囲がまったく違います。また、社内での把握が目的か、法的な手続きに使うのかでも、求められる記録の形が変わります。お話を伺ったうえで、必要な範囲だけをお見積りします。お見積りの前に費用が発生することはありません。
まず確認したいこと
相談員からお伝えしたいこと
よくあるご質問
Q. Q. 顧客名簿を持ち出されたようです。訴えられますか。
判断は弁護士の領域ですが、前提として、その名簿を自社で秘密として管理していたかどうかが問われます。誰でも閲覧・持ち出しできる状態だった場合、法律上の営業秘密とは言いにくくなります。まず社内の管理状態を確かめてください。
Q. Q. 競業避止の誓約書があります。これで止められますか。
書面があっても、そのとおりに効力が認められるとは限りません。期間、地域、職種の範囲、代償の有無などから判断されます。お手元の書面を持って、弁護士にご確認ください。
Q. Q. 相手のパソコンにデータが残っているか調べられますか。
できません。相手が持っている機器の中身を、外から確かめる手立てはありません。
Q. Q. 損害の分を、退職金から引いてもよいですか。
一方的に相殺することは原則としてできません。賃金は全額を支払うのが法律上の原則です。差し引く前に、必ず弁護士か社会保険労務士へご相談ください。
Q. Q. 在職中の社員の動きを見てもらえますか。
お引き受けしません。発覚したときに失うものが大きく、社内の管理は制度として整えるほうが確実です。就業規則や情報管理の見直しを、社会保険労務士にご相談ください。
Q. Q. 調べていることが、業界内に広まりませんか。
こちらから広がることはありません。ただ、御社が同業や取引先に尋ねて回ると、そちらから伝わります。新潟では、とくに速く回ります。
Q. Q. 金銭の被害が見つかった場合は、この相談で大丈夫ですか。
金銭の被害は進む道が違います。別に整理していますので、退職後に横領が発覚したときのページをご覧ください。そのうえで、状況を伺います。
退職者との問題は
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